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薬物療法

薬物療法の導入に際して

当院での精神疾患に対する薬物療法は、疾患の治療上やむを得ず必要な場合に限定させていただいております。お薬をお勧めする場合は、標準的な薬剤と安全な投与量を前提とします。ターゲットとする症状を十分に吟味した上で、予想される副作用の頻度や程度、病状の再発・再燃の可能性等を慎重に検討した上で、薬物療法を開始すべきかどうかを決定します。
ストレスに起因する緊張、不眠、不安などは、抗不安薬や睡眠薬で一定程度症状の改善が期待できることは事実です。しかし、ご病状が改善したのちには、いずれそれらの薬剤を減薬、中止しなければなりません。その際のクライアントのご負担を考慮しますと、依存性の高い薬剤を選択した り、副作用が危惧されるほど高用量の薬剤を服用することは得策ではありません。
当院では、いつでも、無理なく、安全に減薬・中止できるよう、副作用や依存性を回避できる程度の軽易な薬物療法を志向しております。また、薬物療法を最小限とするために、休息やカウンセリングでの対応をお勧めすることが多々ございます。生活習慣の改善や職場での環境調整によっても精神症状は大きく改善します。薬物療法以外の選択肢を積極的に活用することで、薬に頼らない治療を目指すことも十分に可能です。

薬物療法の安全確保

薬物療法をする上で、様々な副作用が発生する可能性があります。当院の薬物療法では、安全確保のため以下の点に留意しております。

  • 薬の量や種類を最小にする。 
  • 服用開始後に副作用発現の有無を確認した上で、問題がなければ治療域まで用量を徐々に増やしていく。 
  • 一度に複数の薬剤を追加したり増量したりしない。 
  • 薬の量を減らしたり、増やしたりする場合は、効果や副作用の推移を把握しながら、時間をかけて行う。 
  • 短時間作用型の薬よりも長時間作用型の薬を選択する。 
  • 一般的に標準的とされる薬剤を選択する。処方頻度が少ない薬や新薬を使用する際は、そのメリットとデメリットを慎重に検討する。
  • 薬物療法開始後、適宜、血液検査を実施し、副作用の有無をモニタリングする。 
  • 服薬に伴うリスクが高い場合は、本人だけでなく、ご家族にも説明する。

薬の依存性について

睡眠薬や抗不安薬等には精神的依存と身体的依存のリスクが潜在しています。よって多くの方は、できるだけ精神安定剤を飲みたくないと考えるものです。しかし、不眠や不安が強い方がそれらの薬を服用すると、想像以上に速やかに症状が軽減するため、つい「自分には薬が良く効く」「この薬は自分に合っている。」「薬さえあれば大丈夫。」など薬物療法に関して楽観的になりがちです。
しかし、薬を減薬または中止する段階になると、逆に「薬をやめたら病気が悪化するのではないか」と過度に悲観しがちです。この断薬する際の不安感は、薬剤への精神的な依存が原因であることが多く、その結果、服薬期間が当初の予想よりはるかに長期化してしまうことが少なくありません。 当院では依存性を考慮し安全性の高い薬剤を第一選択とし、減薬する際にも、適宜、薬物療法以外の治療を並行することをお勧めしております。

薬物療法の利点

一部の精神疾患の治療においては薬物療法は必須です。適切な薬物療法は、症状の改善や再発防止だけでなく、生活の質を高め、社会適応を広げていくものです。
ストレスによって不安や不眠に悩まされる方にとっては、薬物療法は体調や精神状態が改善させ、結果的に仕事や家事への集中力や持続力を高めてくれるものです。人間関係は安定化し、生活の満足度も高まっていくことでしょう。
クライアントの体質や症状に適合した薬剤を必要最低限の用量で安全に配慮しながら服用していくことで、薬物療法のメリットを最大限享受できるようになります。