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小児・学童への心理的援助(発達障がいに関する相談・各種心理検査)

子供の心の成長とは

人の成長とはどのようなプロセスでしょうか。
文部科学省のHPには次のような記述があります。
「子どもが自らの経験を基にして、周囲の環境に働きかけ、環境との相互作用を通じ、豊かな心情、意欲、態度を身につけ、新たな能力を獲得する過程である」
つまり、子供は失敗を繰り返しながらも、日々、自分自身の体験から学習を繰り返しているのです。よって、子供が過度に萎縮したり緊張を強いられる環境は教育上望ましいとは言えません。
また、子供の発達は、身体的発達、情緒的発達、知的発達、社会性の発達などに分けられます。これらは相互に関連し合いながら発達していくものですが、すべての能力が一様に同じペースで発達するわけではありません。従って、子供は得意、不得意の差が大人以上に目立ちやすいと言えるのです。

子供は発育・成長のプロセスの中で、のびのびと人や自然との関わりながら様々な知識や技術を獲得していきます。その中で自己の主体性や他者への信頼感が形成されていきます。自我の発達については、エリクソン(Erik Homburger Erikson)の心理社会的発達理論が有名です。彼は発達の段階に応じた心理的課題を次のように定式化しました。

  • 乳児期基本的信頼 vs 不信
  • 幼児期前期自律性 vs 恥と疑惑
  • 幼児期後期自主性 vs 罪悪感
  • 学童期勤勉性 vs 劣等感
  • 青年期同一性 vs 同一性拡散

子供から大人に成長していくプロセスは、各発達段階特有の課題を十分に達成することに意義があります。各発達段階の達成度が不十分なまま次の段階に進んでも、様々な不適応を引き起こしかねません。また、子供は必ずしも同年齢のお子様と同じ早さで発達するものではありません。周囲の成長を意識しすぎたり、大人が子供に年齢不相応な過度な期待を持つことは、時に教育上逆効果となります。

子供への心理的援助に関して以下の3点が重要であると言えます。

  • 1子供の発達は特定の能力の
    優劣にだけ着目するのではなく、
    各能力の発達のバランスをおおらかに
    評価すべきであること。
  • 2学校や家庭生活においては
    様々な体験や学習を
    のびのびと積み重ねること。
  • 3心の成長は
    段階的に進むものであり、
    焦る必要はないこと。

しかし、一般に心理的発達は個人差が大きいという要因もありますが、学校での些細なできごとをきっかけに、「自分の子供の発達は大丈夫だろうか?」と小児期〜学童期のお子様をもつ親御様は誰もが一度は不安を感じるものです。

発達障害の分類

一般に発達障害は以下の通りに分類されています。

  • 知的障害
  • 学習障害
  • 発達性協調性運動障害
  • コミュニケーション障害
  • 広汎性発達障害(PDD)
  • AD/HD(注意欠陥/多動性障害)
  • 分離不安障害・選択性緘黙・反応性愛着障害
  • てんかん
  • 児童・思春期の「うつ病」
  • 児童・思春期の「統合失調症」
  • チック障害
  • 少年非行

心理テストの結果は教育歴や環境要因に左右される面があります。心理テストの結果だけをもって将来を過度に悲観する必要はありません。また、人は困難な課題に対峙した際、誰もが得意な能力で不得意な能力を補いながら適応しようとするものであり、最初から全ての能力が均等に兼ね備わっている方は少数派であるとも言えます。発達障害の診断は、不適応を引き起こしている状況を詳細に分析し、十分な時間をかけて慎重に判断されるべきでしょう。

主な心理検査

当院もしくは往診(自由診療に限る)での実施が可能。

●WISC-IV

適用年齢:5歳0カ月~16歳11カ月
世界でも広く利用されている代表的な児童用知能検査
子どもの知的発達の様相をより多面的に把握可能

●K-ABC

適用年齢:2歳6ヶ月~18歳11ヶ月
子どもの知的活動を認知処理過程と習得度から測定
検査結果を教育的働きかけに結び付けて活用することができる

●AQ日本語版 自閉症スぺクトラム指数(児童用)

適用年齢:6歳~15歳
自閉症スペクトラム障害のスクリーニング検査
保護者などによる他者評価

●SP 感覚プロファイル

適用範囲 3歳~82歳
感覚刺激への反応傾向を評価するSensory Profileの日本版
対象者について、保護者などが質問票に回答(他者評定式)

*心理テストを通じて子供の能力特性を詳しく知ることで、日常生活の不適応の要因が理解できるだけでなく、いかにすれば子供の能力が発揮されやすくなるかのヒントが分かるようになります。

親子面接の意義

親自身が親子関係をどのようにイメージしているか、それが現在の親子関係にどのような影響があるのかを考えることは親子面接における本質的で重要なテーマといえるでしょう。
当院の面接室は一般的な病院の診察室と違うため、リラックスして面接を進めることが可能です。カウンセリング導入にあたりお子様の抵抗感も少なく、面接導入も比較的容易でしょう。

ひきこもり相談

不登校でお悩みの方、自宅に引きこもった生活をしている方からのご相談も承ります。ご本人様が直接来院されることが困難な場合、オンラインでのご相談(自由診療)もご利用可能です。ご相談の内容やご病状によっては、受診勧奨をさせていただきます。自由診療に限っては、ご自宅への往診も承ります。ひきこもりの問題は、ご本人様への直接の援助だけでなく、支援するご家族へのサポートが重要です。当クリニックでは、家族関係の悪化や、様々な問題行動でお悩みのご家族へのカウンセリングやご相談も個別に承ります。